札幌家裁主催の市民講座『模擬調停「ある熟年夫婦の離婚」』報告

こんにちは。FPかしわ。です。遅くなりましたが、1月20日(金)札幌市教育文化会館4階講堂で行われた札幌家庭裁判所主催の第25回市民講座『模擬調停「ある熟年夫婦の離婚」』について、感想を記したいと思います。


会場はほぼ満席で、参加者は120人くらいでした。講堂の3人掛けのいすには(普通は真ん中の列を空け、2人掛けで座ることが多いはずですが)、3人掛けの状態で座らなければならない列もあるほどでした。50代から60代の方がほとんどで、参加者の約7割は女性、残り3割が男性でした。


模擬調停(一種の劇中劇)はタイトルからして「ある熟年夫婦の離婚」でしたから、あまり面接交渉(面接交流)とは関係のあるストーリーではありませんでした。模擬調停(劇中の)第2回期日から裁判官(家事審判官)が同席したり、同調停(寸劇内の)第3回期日では当事者同士の同席調停が行われるなど、現実的にはあまり起こり得ない進行もあり、正直言って、落胆せざるを得ない内容でした。


北海道内のテレビ局2社(HTBUHB)が、取材に来ていましたが、大々的にニュース番組で取り上げられることはなかったようです。模擬調停終了後にアンケートが行われ、その際には『ぜひ次回は「子の監護処分事件(面接交渉)」について取り上げるよう』要望を記しておきました。


あまり見る内容のなかった模擬調停でしたが、最後の質疑応答がちょっと面白かったので、要旨を記しておきます。一問一答式にまとめると次の通りです。

――調停申立書が調停を始める際の取っ掛かりになるわけだが、その申立書は申立人の言い分がそのまま記載されている。申立書を読んでから調停を始めるとなると、最初は申立人の言い分を信じて(心証が申立人の側に傾くような感じで)スタートすることになるが、公平さを欠くことにならないか。
「調停申立書はあくまで軽く読んでおくといった感じで扱っている。実際には、第1回期日で双方の主張や言いたいことを虚心坦懐に聞いて臨んでいる。公平さを欠くことにならないよう努めている」(女性裁判官)

――この模擬調停では『専業主婦の年金分割権』が2007年4月に認められるので、それまで待つという内容だったが、もし私(質問者)が調停申立人なら当然、そういったこともあらかじめ調べて調停に臨む。また(模擬調停で使われた申立書の中で財産分与の金額などが)『相当額』となっているのも気になった。この模擬調停の筋書きはちょっと不自然で、「ためにする」シナリオのような印象を受けたが、それはどうか。
「ここ数年、離婚の成立件数は増えていない。背景に『専業主婦の年金分割権』が認められる07年4月まで待とうとする動きがある。模擬調停ではそうした動きを盛り込んだ。財産分与や養育費の希望金額を『相当額』とするのも実際にあった事例を基にしたもので、最近の離婚調停では、このように書く事例が増えている」(前出の女性裁判官)