裁判官の思考回路

間接強制の手続きを考えていたので、今日作戦会議がてら弁護士さんに相談してきました。


なかなか興味深い意見をいただいて帰ってきましたが、特に印象的だったのは


「あんまり論文とか出さない方が良いかも?」
医学・心理学分野の論文を出されると
「貴方は知らないでしょうけど、こんなことが言われてますよ!」って上から目線になるので
裁判官の心証が悪くなるそうです。


「面会交流の阻害が虐待だって言うけど、そんなこと言うと極論だって思われて身構えられる」
ただ欧米ではこれは既に一般的な認識であり、必ずしも極論とは言えないと思うんですがね・・・
実際に虐待と捉え、犯罪として扱うとか親権剥脱の理由としている国はありますし、日本でもそれが一因となって親権の変更が認められた例もあります。
「子どもが精神的に不安定になって、成績が落ちることをあえてするのが、子どもの福祉にかなっている
なんて意見の方がよっぽどトンデモな気もします。
「"こんな極論を持ち出す奴とは話しても無駄だ"と思われかねないよ」なんてことも言われましたが
総論として”やっちゃいけない可能性が高いこと(面会交流の阻害)”を認める方が、とんでもない話だと思います。
であれば、”基本はやっちゃいけないことをあえてする理由”を裁判官は提示するべきだと思うんですけどね。


「面会交流をした方が良いっていうけど、外国のデータでしょ?」
逆に日本では異なるというデータが無いのに、「日本では違う!」って言うのも根拠が無いですよね?
これも海外のデータですが、男も父親になると体の変化が起こります。
http://www.pnas.org/content/108/39/16194
人間という生き物は、父親も子育てに参加するようできているようです。
(クマのように受精後は子どもに関わらないなら、このような子どもと過ごすためのホルモン調節は必要ありません 子育てに参加しないなら、人間は年中発情期の生き物ですから、むしろいつもテストステロンが高いほうが繁殖には有利でしょう)
このデータを踏まえると、おそらく子どもから見ても父親との関係がある中で育つのが、生物学的にも理にかなっているのでしょう。
そもそも、生き物の行動として特に重要とされるのは、食事そして生殖です。
食べ物が米かパンか?魚か肉か?はともかく、食事をとるのは文化や人種に依存しない共通の行動です。
同様に生殖行為(有り体に言えば性行動ですね)が、人種間や文化で異なるわけではありません。
気になる異性を食事に誘うか?、それともお見合いで知り合うか?等の、それこそ文化的バリエーションはあれど、最終的に子作り行為に差があるわけじゃないですよね?
子育てという、生殖に密接に関わる行動に関する生物学的変化も同様に、人種や文化で変化がある等という考え自体が、相当にトンデモですね。


「片親阻害って言うけど、一般論では無く個別の証明が必要だよ」
とはいえ、そもそも「片親阻害」なんて言葉は裁判官は知らない(調査官も知らない人はたくさんいる)ので
やっぱり論文その他を持ち出して、「こんな事があるんだよ!」と総論としてその定義を明確にする必要はあるんですよね。
「上から目線でそんなの持ち出すな!」って言われても、そもそも裁判官が知らない以上は一度論文その他を持ち出すより仕方ないですよね。
その上で、「うちの息子はこんな手紙を書いてきてる。そもそも息子との仲は非常に良かったし、手紙の内容からすると本人が自発的に書くことなどあり得ない内容を書いている。故に母親からの洗脳行為がある可能性が高い。」
と言う各論に持って行くのは、全く筋道として問題が無いのでは???
(ちなみにPAには"片親阻害"の他に、"洗脳虐待"と言う訳もあります。)
PAS,PADに関しては、DSM-Vには盛り込まれなかったようですが、採択の時に俎上に登る程度のトピックにはなっています。
決してどこかのトンデモ弁護士の言う、「トンデモ科学」のレベルではありません。
事実昨年もPASが表題に入った論文が、雑誌に掲載されています。


今日の収穫?ですが
裁判官には科学的データを示しちゃダメ!(知らないこと・分からないことを持ち出されるとヘソを曲げる)
あんまり頑張ると訳の分からないことを言い出すので注意!(自分に都合の悪いことは絶対認めない)
結論としては、「下手に出て感情論のお涙頂戴で責める???」と言う事みたいです。
しかし普段裁判官とお付き合いしてる弁護士さんからも、こんな風に見られてる裁判官って凄いですね。
そういう人種に僕らや子ども達の人生が左右される事に、改めて恐怖を覚えました。