『離婚後の親子たち』読んでみてください。

こんばんは、かしわ。です。知り合いの氷室かんなさんから、出版の知らせが届き、著作の寄贈を受けました。題名は『離婚後の親子たち』(太郎次郎社エディタス、B5版、1,800円)。いい本です。


数多くの離婚後の親子・元夫婦を、氷室さんが訪ね、考え、聞き書きし、まとめあげたルポルタージュです。私がどうこう言うよりは、狙いを筆者ご自身から語ってもらう方がいいかもしれません。「親だけでなく、子どもたちにも話を聞きたい。≪離婚後≫の親子の取材を進めたとき、私は子ども自身の気持ちを聞いてみたいと思った」「これまで、子どもたちは“離婚後のかわいそうな犠牲者”としてひとくくりにとらえられてきたように思う。だが、子どもたちが本当に望むことは、“かわいそうな子ども”として慰められることではなく、一個人の“わたし”の思いをきいてほしい、ということではないか」「……離婚する親が最低限できる努力。そのひとつが、親子の絆を育みつづけることだと私は思う。子どもは自分の力で成長し、自分の人生をきり開いていく。そのとき、父親と母親がともにサポートできる態勢でいることは≪最善≫であると思う」「しかし、いま、取材と執筆を終えて、……どんな離婚をしても、果たして最終的に≪最善≫に結びつくかどうかは、ふたを開けてみなければわからないと考えるようになった」(以上、氷室さん。「エピローグ」より)。氷室さんの彷徨(ほうこう。さまよい歩き)がとても素直な形で綴られていて、取材相手の元夫婦や離婚後親子のとまどい、葛藤、苦渋といったものが、分かりやすく伝わってきます。


私自身、心に響いたコメントがあります。「その先生が娘さんに会いたいっていってたのが、ある意味、自分に励みになっていたというか。“絶対に会えるようになる”といわれて、あ、じゃあ、もう一回がんばってみようかなって思って」。151ページの彩さんの一節です。『その先生』は離婚後、娘に会えない状況にある父親でした。彩さんが励まされていたのと同様に、『先生』も彩さんからきっとエネルギーをもらっていたと思うんですね。離婚というものが日本ではまだまだタブーだとしても、こんな風景が日常の中に彩られていけば、離婚後の面接交流はもっと進むように思うんですよ。


心が洗われるいい本です。いろいろな見方を考えるきっかけにもなります。元妻にも勧めようと思います。もうじき書店にも並ぶことでしょう。最後にかんなさんからのお手紙を紹介しておきます。「ご無沙汰しております。以前、名古屋でのかしわさんの会にお伺いしましたかんなです。このたび本のかたちで離婚後のメッセージをまとめることができました。ご高覧いただければ幸いです」