日弁連へ共同親権・面接交渉権などの意見・要望提出。

こんにちは。かしわ。です。下のスレッドにも書いたように日弁連への共同親権等に関する意見・要望をまとめ、提出しましたので、大変遅くなりましたが、その内容をこの場でも公開します。
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Re:メールありがとうございます。面接交流ネットのFPかしわ。と申します。

弁護士 中村○○○さま

1カ月近くも前にメールをいただきながらご挨拶、ご連絡が大変遅くなりました。面接交流ネットの代表をしておりますFPかしわ。と申します。このたびは現状の面接交流(交渉)に対する意見を求めるメールをいただき、誠にありがとうございます。


面接交流ネットでは、中村先生のメールを差し支えのない形でネット上で公開し、現状の面接交流(交渉)に対する考えを公募しました。その結果、一人の女性(非養育親)の方から、メールで声が寄せられました。まずはその内容をそのまま、ここでお伝えします。


『原因は私側にあったのですが、今はお酒も別居してからやめて、早く家族で暮らせるように努力し、家も売って近くに引っ越してきましたが、主人と子供は義妹の家に居て急に月に2回しか子供に会えなくなり、調停もやりましたが、現在続行中で、全然条件を変えようとせず、会うときも必ず主人と同伴でなければだめだと言うのです。この前も子供(女の子4歳)が女性更衣室に行きたいと言ったのに、抱っこしたまま男性の方へ連れていこうとしたので、大騒ぎになりましたが、この事を弁護士に伝えてもその後会えているならしばらく様子を観ましょうで終わってしまい、調停でも全然私の主張が通らず、弁護士に聞くと強制力はないから、子供を人質に捕られている様なものだから、と言われて、何の為に調停をやったのか解らなくなりました。最初の約束は私の病気が治ったらやり直すという事でしたが、全て状況が変わった。主人は1回目の調停でいずれ離婚を考えているから、と調停員を通して聞きました。だからと言って私の努力が全て報われない、何もさせてもらえず、向こうは実績をつくりへとへとになっても、ファミリーサポートに頼んで保育園のお迎えと夜9時過ぎまで子供を預けていて、近くに本当の母親が居るのにかわいそうだと思います。


私は子供の福祉の為に今の環境を変えないほうが良いと言った法律に矛盾があると思います。今現在は仕事も出来るようになり普通に生活しているのに努力が報われず悔しい思いをしています。保育園の運動会の見学も駄目だという主人の主張が通ってしまい辛いです。   ahb63501@ 』


ahb63501@とおっしゃる女性の投稿から、次のようなことが分かると思います。
1)「調停でも全然私(ahb63501@さん。非養育親)の主張が通らない」こと
2)弁護士に聞くと「強制力はないから、子供を人質に捕られている様なものだから」と言われたこと
3)形ばかりの面接交流(交渉)なので、その内容を深めようとしても、弁護士からは「その後会えているならしばらく様子を観ましょう」で終わってしまい、問題にされていないこと
4)子供の福祉の為に今の環境を変えないほうが良いと言った判例の積み重ねがあること
5)その結果、何の為に調停をやったのか解らなくなったこと


残念ながらこれらのフラストレーションは、非養育親が面接交流(交渉)を実現しようとするときに、必ずと言っていいほど体験する事例だと申しあげて過言ではないと思います。ahb63501@さんのようなプロセスにたどり着ける方は、まだましな方でして、実際には会う手掛かりすらなく、一縷の望みを託して(面接交渉)調停に臨む方が多いのが実情でしょう。


なぜこのようなことになっているのか、面接交流ネットでは次のように考えます。
A)離婚とは夫婦の解消のみならず、親子の断絶でもある、とする社会環境や因習が日本ではまだまだ根強い
B)そうした社会環境や因習を変える条件がまだ日本では整っていない
C)環境や因習を変える大きな要件の一つに、法による整備(立法による整備など)が必要なのだが、日本では不備のままになっている
D)特に、民法(中でも第766条)に面接交流(交渉)に関する規定が全く存在していないため、面接交流(交渉)は養育親の『ほどこしもの』に成り下がっている
E)さらに民法の中で明確な規定がないため、調停や審判でも非養育親側から強い主張ができない
D)また判例などでも現状維持の原則や母権重視の原則は、個別個別の事例に照らし合わせて厳しく吟味されなければならないにもかかわらず、現行のずさんな法規定などもあって、機械的に当てはめられがちである


これでは、本来は『子の福祉』を実現するために行われる面接交流(交渉)が、養育親側からの視点や主導で行われることになり、子どもの幸せ(二親から愛育を受ける幸せ)に必ずしもつながらないといった倒錯した関係に陥ってしまう危険があります。いまさら『子どもの権利条約』などを持ち出すまでもなく、子どもには両親から愛育を受ける権利(幸せ)があります。ですが、現状の日本では養育親側のイニシアチブがあまりにも強く、ややもすれば子どもは養育親の『所有物』にもなりかねません。


ですので面接交流ネットでは、日本弁護士連合会(日弁連)が「離婚とこども」と題するシンポジウムを企画するにあたり、次のような4点の意見・要望を申しあげたいと思います。
1.民法(中でも第766条)に面接交渉に関する明確な規定を盛り込んでほしい
2.離婚調書や調停調書で取り決めた面接条項は、現状のような『紳士協定』のような扱いではなく、罰則を伴う形で義務化を図ってほしい
3.『子どもの権利条約』第9条第3項にみられる子どもの「二親と分離されない権利」を何らかの形で国内法に明文化してほしい
4.以上のような観点を踏まえた形で、共同親権に関する新法の制定を国会などに促すとともに、その対案の研究を進めてほしい


当ネットからの意見・要望は以上です。なにとぞ意見の趣旨等をご斟酌の上、来るべき12月2日のシンポジウムに反映していただくことを願ってやみません。


追伸:
返事が大幅に遅れてしまったことを深くお詫び申しあげます。末尾になりますが、中村先生と●●●法律事務所の職員の皆さんのご健勝とご発展を、心からお祈り申しあげます。